株式投資をしていると、ファンダメンタルという言葉が出てくると思います。ファンダメンタル分析ができれば、業績予想や売上の推移を予想することができるようになるため、株価の上昇を予想できます。
ファンダメンタル分析をして、株価が安い時に買うことができれば、勝率があがると言われています。
ファンダメンタル分析を下記の『オニールの成長株発掘法』を通して、わかりやすく紹介します。株というジャンルを飛び越えて、数ある書籍の中でもすばらしい本だと思っています。ぜひ参考にしてみてください。
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ファンダメンタル分析とは?
ファンダメンタル分析とは、企業分析にことです。企業分析をするためには「CANSLIM(キャンスリム)」が重要です。
ファンダメンタル分析をする上で重要なCANSLIMを解説します。
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ファンダメンタル分析に重要なCANSLIMとは?
CANSLIMとは以下の通りです。
・C = 当期四半期のEPS(1株あたり利益)と売上
・A = 年間の収益増加
・N = 新興企業、新製品、新経営陣、新高値
・S = 株式の需要と供給
・L = 主導銘柄か停滞銘柄か
・I = 機関投資家による保有
・M = 株式市場の動向
それぞれ詳しく解説します。
CANSLIMの「C」とは?
CANSLIMの「C」は、当期四半期のEPS(1株あたり利益)と売上です。つまり、「EPS」と「売上」に注目することです。
上記は「トヨタ自動車」の決算の推移です。トヨタの業績を例として解説します。
売上とEPSに注目してください。一番左と一番右に赤枠で表示してます。売上が2020年の1月から3月の3ヶ月間で、前年同期比で売上が「どれだけ伸びているか?」が重要です。
売上とEPSが25%以上伸びている株は成長株です。
なぜ売上の推移を見るのか?というと、 EPSだけが伸びていても、もしかしたら本業とは違った特別な要因で、EPSが上昇している可能性があります。
例えば、「会社が株で大きく利益を出した」「不動産を売買した」などの利益が臨時で入ってきて、EPSが増加しているものもあります。
そのため、必ずEPSだけでなく、売上とセットで見ることが非常に重要です。
売上は伸びていないのに、EPSだけ伸びているのは、成長株ではありません。
注意点として、前年同期比の同じ時期で比較する必要があります。
上記の画像の赤枠に注目してください。2020年の1〜3月期と2019年の10〜12月期を比較してもあまり意味がありません。
例えば、ゼネコンや建築系などは、第4クウォーターの1〜3月期に業績が良くなりやすい傾向があります。
企業によって少しクセがあったりするため、必ず前年の同じ時期と比較することが非常に重要です。
CANSLIMの「A」とは?
CANSLIMの「A」は年間の収益増加です。「A」は先ほど「EPS(1株当たり純利益)が25%以上増加していると良い」という話をしました。
その上で、3ヶ月毎だけではなく「年間でEPSが25%以上伸びているものが良い」です。
上記の画像の赤色で囲っている部分に注目してください。年間で25%上昇している方が企業の業績が安定しています。
年間で安定して25%以上伸びている会社は、急にEPSが上昇することがあります。
成長する株は、もともと安定して業績を上げていることが多いです。
さらに、ROE(自己資本)が17%以上の株を買うことをおすすめします。
ROEは、自己資本でどれだけ利益を生み出したか?という割合です。ROEは経営のうまさを表します。
ROEが高い、17%以上あるものは「会社の経営が上手い」ことを意味します。ROEが高い企業は株価上昇しやすいです。
CANSLIMの「N」とは?
CANSLIMの「N」は、「新興企業」「新製品」「新経営陣」「正しいベースを抜けて新高値」を表します。
「N」は新しいという意味を表します。成長株はその企業の業績が急激に伸びる前には前兆があります。
多くの場合は、新しい製品などを開発して、株価が急に伸びます。さらに、その株価が急上昇して、新高値をとるような銘柄は、非常に強いです。
例えば、上記の画像は「ガンホー」のチャートです。「ガンホー」は『パズドラ』というスマートフォンのアプリを開発した会社です。
『パズドラ』という新しいアプリが大ヒットして株価が急上昇しています。
アプリのユーザーが課金をすることで、売上の増加が見込めます。株価が急に上昇して新高値をとってきた、話題になった銘柄です。
何か新しい製品やサービスなどが時代の変わり目になります。
本当に分かりやすい例として、コロナウイルスの影響で新しいものが、次々と生まれて株価が急上昇している会社は数多くあります。
新しいサービスなどが生まれてくる企業の銘柄は、非常に強いシグナルになります。
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CANSLIMの「S」とは?
CANSLIMの「S」は株式の需要と供給です。「発行済み株式数が多い銘柄は避けた方が良い」ということです。
株式を多く分割しているような株は、買うことをおすすめしません。
株の分割を繰り返すような企業は、市場に株の数が多く出回っています。株式市場で誰でも買える状態です。株が誰でも買える状態になると株の価値が下がります。
例えば、ロレックスなどの有名な時計で、腕時計が世界に1本しかないから価値が上がります。
世界に1本しかない腕時計が急に、「やっぱり世界で1万本にします」となった瞬間に、腕時計1本あたりの価値が下がると思います。
株も全く同じです。株式枚数は少ない方が良いということです。
発行済み株式数ランキングを検索すると出てくるため、株式枚数が少ない株のほうがいいです。
なぜなら、株式が少なければ少ないほど、少しの買いで株価を上昇させやすいからです。株が数多く市場に出回っていると株価を上げようと思ったときに、大量の買いを入れる必要があります。
その他に、マーケットのプロは浮動株にも注目しています。浮動株は個人投資家が購入可能な株のことです。
浮動株の反対にあたるのが安定保有株です。ほとんど取引しない機関投資家などが保有しているものです。
安定保有株が多いほうが機関投資家などにとって利害関係が発生しやすいです。そのため、会社として絶対に株価を上げようとする、圧力みたいなものがあります。
CANSLIMの「L」とは?
CANSLIMの「L」は、主導銘柄か停滞銘柄です。本書には、上位の1位から3位を買うべきと書かれています。
勘違いされがちですが、上位1位から3位は「時価総額が大きい」や「知名度が高い」などの意味ではありません。
主導銘柄は四半期の売上とEPSが強く伸びて、株価のパフォーマンスも好調という銘柄です。その市場を動かしているトップの銘柄を表しています。
「株探」や「ヤフーファイナンス」で、自分が保有している銘柄と似たような銘柄を比較します。
例えば 、「トヨタ自動車」「本田技研工業」「日産自動車」のような似たジャンルで並べ、比較します。もっとも「株価」「売上」「EPS」などが伸びている銘柄は非常に強い成長株です。
例として「トヨタ自動車」「本田技研工業」「日産自動車」をあげたので、成長株ではありません。
しかし、電気自動車関連や半導体関連のような、これから伸びると予想されるものは、いくつか株価を比較してみるといいでしょう。
CANSLIMの「I」とは?
CANSLIMの「I」は機関投資家による保有です。機関投資家とは人のお金を運用している団体のことです。
「日本トラスティ」や「日本マスター」などをよく見ると思います。これは人のお金を使って運用している団体です。
例えば「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」や保険会社、銀行などから委託されている信託銀行です。要するに、プロの投資家です。
資金力のある団体と理解しておいていいです。なぜ、機関投資家が入っているといいのか?というと、プロの投資家が保有しないような銘柄は、株価の値動きも平凡に終わる可能性が高いです。
機関投資家は10,000以上あるのに、どの機関投資家も買っていないとなると、「人気がない」「これから株価が上がる見込みがない」のどちらかです。
機関投資家が入っていない銘柄は、積極的に買いにくいです。
CANSLIMの「M」とは?
CANSLIMの「M」は株式市場の動向です。ここまで、CANSLIMで銘柄をスクリーミングして、完璧な銘柄を見つけたとしても、市場全体が下向きなら株価は上がりません。
例えば、リーマンショックやコロナショックなど、マーケットが弱気相場の時は、成長株であっても、株価は上がりにくいです。
そのため、優良銘柄を発掘すると同時に、今「マーケットが強気なのか?弱気なのか?」についてみることが大切です。
マーケットの強気、弱気を判断するのは、主要な株価指数を見るといいでしょう。
例えば、「日経平均株価」「TOPIX」「NYダウ」「S&P500」などの主要な大きい指数です。できれば、毎日チェックすることおすすめします。
マーケットのトレンドの転換を見分ける方法を2つあります。
出来高が増えているのに、株価は横ばいになっていることです。出来高は1日の取引量のことです。数多く取引されているのに、株価が上がらないのは、勢いはあるにもかかわらず株価が上がらないということです。
マインド的に「このまま勢いが続くのだろうか?」ということです。
もう1つは、直近の高値、もしくは安値を超えてこないことです。
例えば、日経平均株価が上昇し、2万円を越えようとするが、越えれない。また数日から1週間ぐらいたって、また2万円を越えようとするが、なかなか越えれないという状態です。
何回も何回も、チャレンジしても2万円を越えれないと、マインド的には悪いです。もしかしたら、そのまま下げトレンドになる可能性もあります。
そのため、チャート編でも解説しましたが、出来高は非常に重要です。
「出来高を伴って、株価が上昇しているか」を確認しましょう。
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まとめ
以上がCANSLIMで成長株を発掘する手法になります。
・C = 当期四半期のEPS(1株あたり利益)と売上
・A = 年間の収益増加
・N = 新興企業、新製品、新経営陣、新高値
・S = 株式の需要と供給
・L = 主導銘柄か停滞銘柄か
・I = 機関投資家による保有
・M = 株式市場の動向
それぞれ、徐々に覚えると良いと思います。1回見て、理解するのは難しいため、何回か読み直してみてください。
『オニールの成長株発掘法』は分厚いため、読むのが大変ですが、重要なところだけで抜粋して説明しました。
本書は1ページあたりの情報量が多すぎて、全部メモを取らないといけないぐらい有益なことが書かれています。
ぜひ成長株を発掘するために本書を、参考にしてください。
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以上